商品を買ってくれるお客様について知っておくべきこと
ほとんどの営業マンが見落としているお客様に対しての視点
今回のテーマは、ほとんどの営業マンが知らない「商品を買ってくれるお客様について知っておくべきこと」です。
ほとんどの営業マンは、お客様についてこの視点を見落としていると感じることがあります。
それが「売り手と買い手のタイミングが一致する事はめったにない」ということです。
何故このテーマを選んだかと言いますと、多くの営業マンの方々が、「初回訪問からいきなり売り込もうとしているのが正しいと思っている」という事を企業研修での質問から感じたからです。
私が多くの営業マンに会い、またセミナーをやっていて感じるのは、「自分が勧めた時に買うか買わないか」でしか見ていない営業マンが多いということです。
「訪問した時に、どんなトークをしたら(玄関から)出てきてくれるのですか」
「訪問した時に、どんなトークをしたら買ってくれるのですか」
「買う気のないお客様に買ってもらうためには、どうしたらいいのですか」
といった質問を多くされます。
この考え方をして初回面談で売り込んでいいのは、スポット型の営業の人だけです。
スポット型営業マンは一度会ったら、二度、そのお客様に会う事はありません。初回訪問が物を売るタイミングになっているからです。
逆に、一度買ったら定期的に買い続ける商品や、車のように5~6年乗ったら買い替えるような商品を売っている営業マンは、会って一度目で売れることはあまりないと考えた方がよいのです。
一度目で売れることはあまりないので、まだ買っていない人に定期的にコミュニケーションを取り続けることが大切です。相手に必要になった時に真っ先に自分の名前を思い出してもらい、お客さんの方から連絡をくださるようにしておくことが大事だからです。
この考えが抜けている人が多いと言えます。
顧客維持は契約後だけにあるのではありません。
よくお客様を育てるという言葉を聞きますが、このお客様を育てるという営業活動は買っていただく前にも存在するという事です。
スポット型の営業は、例えると、狩りや漁業のようであり、狙った獲物をその場でしとめるという考え方です。継続取引型(ルートセールス)や中間型のセールスは、農業のように、土を耕し、種をまき、育て、刈り取るという考え方に似ているのです。その場で刈り取ることはできませんが、時間をかけて、大きな実りをもたらしてくれます。
お客様になるであろう人と、長く良い関係を築くことで、結果的に売れるセールスマンになることができるのです。
ところが、この発想がない営業マンは、すぐに買ってくれるかどうかだけを見てしまいます。
「この人は買う気がない」と判断すると、すぐに見切ってしまいます。
営業マンの方が見切っていると思っているのかもしれませんが、実はお客様の方がこちらを見切っているという事に気づいていません。
【Point】
顧客維持活動は、契約以前から始まっている。
お客様の心が営業マンから離れていく行動とは
最近、私自分自身が体験したことで、こんなことがありました。
あるセミナーで知り合った保険の営業マンの方が、セミナー後、すぐに電話をしてきたので会う約束をしました。
会ってみると、いきなり保険を勧めてこられたのです。まだ契約する時期でないとわかると、一年間は色々とアプローチして来られました。しかし、一年経つとぱったりと連絡が途絶えたのです。
電話一本や、メールでもすればよいのに、気持ちいい位、連絡が無くなってしまいました。
連絡が途絶えると、その方の名前すら思い出せないようになります。
おそらく会社の方針で、一年たっても契約できないと見切るような仕組みや指導になっているのでしょう。
その場でお客さんにすることばかりを考えていて、最終的にお客さんにするという発想がないのかもしれません。
もし、ずっと連絡をいただいていたならば、保険が必要になった時に、この方に連絡したかもしれません。
一年で連絡が来なくなる人ならば、お願いしなくて正解かな、とも思ってしまったのです。
余談ですが、営業マンの中には、自分から呼び出しておいて、何の話をするのかを明らかにしない方もいらっしゃいます。
多分最初から、営業のお話をするというとアポが取れないと思っているのでしょう。
会う趣旨を言ったら会ってくれない人とアポを取って面会しても、そのお客様が契約してくれる可能性は低いでしょう。そして、呼び出された方は営業マンに良い印象を持たないであろうことに気が付いていないのです。
お客様によっては相手の営業マンを観察して、人となりや行動を見ている人もいらっしゃいます。本当に誠実か、契約をしてもいい人なのかを、時間をかけて見定めている人もいらっしゃるのです。特に、車や家などの高額な商品の場合には、そうした人は多いのではないでしょうか。
保険などの場合にもそうしたことはあります。
私が車の営業マン時代に、職域販売で訪問してきた女性の保険営業マンの人がいらっしゃいました。
一年通って来られるようだったら契約しようかと考えていたのですが、そこまでもたず退社されたようで、結局、保険には入らずじまいに終わりました。
このように、じっくりと営業マンのことを見定めているお客様もいらっしゃるのです。
【Point】
継続したお客様へのアプローチを心掛ける。
売り手と買い手のタイミングが一致する可能性はどのくらい?
よく考えてみればわかる事ですが、売り手の売りたいタイミングと買い手の買いたいタイミングが一致する可能性はどれくらいあるでしょうか。
あなたも誰かに商品をすすめられたときに、「そのタイミングで、その商品が欲しかった!」と思ったことがどのくらいあったか、思い返してみてください。
ドンピシャで合うことは、ほとんどないのではないでしょうか。
そうであるなら、営業は長期戦になって、当然です。
しかし、営業マンの頭の中には「このお客様は、今買うか、今買わないか」ということしかないので、一回の訪問や面会がものすごく無駄になっているのです。
そのことに気付いたら自然と成果は上がるのです。
ここまで、「ほとんどの営業マンが知らない、「あなたの商品を買ってくれるお客様」について知っておくべきこと」についてお話ししてきました。
あなたは「このお客様は、今買うか、今買わないか」ということで、お客様を見ていなかったでしょうか。
もし、そのように考えていたならば、この考えを変えることから始めてください。
今日、断った人も、未来のお客様になるかもしれないのです。
ぜひ、その視点をもって営業の仕事をしてください。
【Point】
「このお客様は、今買うか、今買わないか」だけで、お客様を判断しない。
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